京都工芸繊維大学大学院保存再生学コース保存再生学シンポジウム2016
[第2回]鉄筋コンクリート建造物の保存と活用 — モダニズム建築の保存活用の成果と課題


「オランダと日本におけるモダニズム建築の保存活用」
笠原一人(京都工芸繊維大学)


「近代建築遺産 何を継承し何を変えるか — 概念・材料・実践」
ヴェッセル・デ・ヨング(デルフト工科大学)


「日本のモダニズム建築 保存再生の課題」
鯵坂徹(鹿児島大学)

「鉄筋コンクリート建造物」を年間テーマとする2016年度の第2回となるシンポジウムである。
鉄筋コンクリート造による建築物の発明から100年以上が経過し、我が国においても、鉄筋コンクリート建造物はもはや歴史的存在となりつつある。しかしながら、その保存再生のための改修に関する理念や方法については、まだ十分に議論されていない。中性化や漏水による劣化、耐震性能への適応など技術的な問題も多いが、ヨーロッパで建築保存の理念の中心をなしてきた「オーセンティシティ(本物性)」を維持するのが難しいという問題も抱える。
そうしたなか、オランダでは建築史上燦然と輝くモダニズム建築の傑作「ファン・ネレ(Van Nelle)工場」(1928年竣工、Brinkman & Van der Vlugt設計)が、オーセンティシティを維持しながら、近年オフィスビルにコンバージョンされ活用されている。2014年には世界文化遺産に登録されるという成果も得た。また日本では、優れた事例はごくわずかに過ぎないが、近年では「国際文化会館」(1952年竣工、前川國男・坂倉準三・吉村順三設計)が、解体の危機にあったものの、耐震性能をクリアしながら美しく改修され活用されている。
今回のシンポジウムでは、これらのモダニズム建築の保存活用における改修設計を担当した二人の建築家を招き、それぞれの取り組みの成果を紹介していただきながら、モダニズム建築や鉄筋コンクリート建築物を「使い続ける」ための課題を考えたい。オランダと日本という異なる2つの国を比較しながら議論することで、その課題がより明らかになることを期待したい。

鉄筋コンクリート建造物の保存と活用:モダニズム建築の保存活用の成果と課題
日時:2016年11月26日(土)13:30-
会場:京都工芸繊維大学60周年記念館2階大セミナー室
定員:90名(先着順、入場無料)
主催:京都工芸繊維大学大学院建築学専攻
   京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab

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Conservation and Practical Use of Reinforced Concrete Structures – Results and Problems for Preservation of Modern Architecture


Assistant Professor Kazuto Kasahara [Kyoto Institute of Technology]


Professor Wessel de Jonge [Delft University of Technology]


Professor Toru Ajisaka [Kagoshima University]

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