本書は、京都工芸繊維大学とトリノ工科大学との共同ワークショップとして開催された「ポケット・ラボラトリー・プロジェクト」(2024年)と「ドリンクスケープ」(2019年)の記録・成果をまとめたものです。
ポケット・ラボラトリー・プロジェクト
–
大型機材に頼らず、日常的に使うスマートフォンやアプリだけを用いて、歴史的環境のデータを収集・分析することを試みたワークショップ。
舞台となったのは、ユネスコ世界遺産にも登録されている「ヴィラ・デッラ・レジーナ」。17世紀にサヴォイア家によって築かれたこのヴィラと、その周囲に広がる庭園を対象に、ミクロとマクロの両視点から迫ります。歴史GISや3Dフォトグラメトリ、音・熱・色・遺伝子・植生といった多様な情報をすべてスマートフォンで取得し、環境を立体的かつ共時的に読み解く、実験的なプロジェクトです。
比較対象として浮かび上がるのが、京都。川と山に囲まれた都市構造、王宮や御所に代表される広大な緑地、歴史的空間の重層性──トリノと京都の不思議な共通点が、国際的な共同研究の背景にあります。
「スマホでどこまでできるのか?」という問いから始まった本プロジェクトは、「ポケットにおさまる研究室=ポケット・ラボ」が切り拓く、新たな歴史環境研究の可能性を提示しています。
ドリンクスケープ
–
「宇治茶」と「ピエモンテワイン」という二つの飲料文化を手がかりに、飲料の生産を通じて形成されてきた文化的景観を探るワークショップ。
建築、都市、デザインを専門とする日伊両国の学生たちは、宇治茶の産地である京都・湯船地区と、ピエモンテワインの産地であるチェッラモンテ地区へ赴き、問題発見から地域の持続可能性に向けた提案を行いました。
湯船地区では、集落のランドスケープと建築にひそむメカニズムを理解することを課題とし、建築、都市、デザインの3つの専門分野に分かれて提案がなされました。チェッラモンテ地区では、旧採石場を中心にした集落回遊ルートの提案、展望所のデザイン提案、空き家リノベーション提案というテーマに分かれて検討・提案が進められました。
本ワークショップの成果は、これらの提案に加えて、提案に至るまでの景観読解、分析、デザインの「方法論」を共有し、交換した点にも見出されます。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
Pocket Lab 2024:
ヴィラ・デッラ・レジーナと無鄰菴の歴史的環境分析
Outline | 008 | |
「ポケット・ラボラトリー・プロジェクト」の概要 | 010 | |
ポケット・ラボラトリーとはなにか? | 018 | |
現地調査のテクニカルノート | 020 | |
Column…3D | 024 | |
Field Survey | 030 | |
Light | 032 | |
Perspective | 040 | |
Time | 044 | |
Analysis | 048 | |
歴史 | 050 | |
水・音 | 060 | |
人 | 070 | |
土・石 | 080 | |
光・熱 | 092 | |
緑 | 100 | |
暮らし | 112 | |
Summary & Prospect | 126 | |
まとめと展望 | 128 |
Drinkscape 2019:
ピエモンテワインと宇治茶の景観分析
Essays | 134 | |
What is Drinkscape? | 136 | |
和束町の景観施策にみるドリンクスケープの可能性 | 146 | |
drinkscapeの方法論 | 168 | |
ドリンクスケープとデザイン | 176 | |
Outline | 030 | |
トリノエ科大学+京都工芸繊維大学共同ワークショップ 一字治茶とピエモンテワインにおけるDrinkscape 2019 |
184 | |
Drinkscapes. A comparative glance at the productive landscapes in Japan and Italy |
190 | |
Yubune | 194 | |
湯船概要 | 196 | |
湯船|ランドスケープチーム | 200 | |
湯船|建築チーム | 208 | |
湯船|デザインチーム | 216 | |
Cella Monte | 224 | |
チェッラモンテ概要 | 226 | |
チェッラモンテ|Path | 230 | |
チェッラモンテ|Amphteater | 238 | |
チェッラモンテ|Village house | 244 |
クレジット
Pocket Lab 2024: ヴィラ・デッラ・レジーナと無鄰菴の歴史的環境分析 |
||
期間 | 2024年7月–2025年2月 | |
担当教員 | 赤松加寿江/菅健太郎/津田和俊 | 京都工芸繊維大学 |
参加者 各グループ 50音順 |
小石遼花/齋藤大成/杉山葵/谷口佳穂/檜皮拓也/藤巻大輝/三谷美琴 | 京都工芸繊維大学 |
Davide ARPELLINO/Elisa BUCCHERI Esteve DUTTO/Paolo MAMINO |
Politecnico di Torino | |
協力 敬称略 |
Prof. Mauro VOLPIANO (Resp.) Prof. Claudia CASSATELLA Prof. Enrico GOTTERO |
Politecnico di Torino |
Politecnico di Torino Construction History Group | ||
Post-Graduate School in Architectural and Landscape Heritage [Scuola di specializzazione in “BeniArchitettonici e del Paesaggio”, SBAP] |
||
門林理彩(TA) | 京都工芸繊維大学 | |
Valerio MORANDO (TA) | Politecnico di Torino | |
Drinkscape 2019: ピエモンテワインと宇治茶の景観分析 |
||
期間 | 2019年2月–2019年9月 | |
担当教員 | 小野芳朗/清水重敦/岡田栄造/大田省一/木村浩之/赤松加寿江 | 京都工芸繊維大学 |
Claudio Germak/Marco Santangelo/Massimo Crotti/Davide Rolfo/Mauro Berta/Bianca Maria Rinaldi/Claudia Cassatella/Silvia Barvero/Marco Bozzola/Beatrice Lerma | Politecnico di Torino | |
参加者 各グループ 50音順 |
新井晴子/三井凛子/岡本晋/大田彩香/安部未織/山出千加/後藤有美/渡邊香奈/野辺尚暉/荒木菜見子(TA) | 京都工芸繊維大学 |
Laura Munos Tascon/Mattia Salvador/Asja Aulisio/Eva Vanessa Bruno/Noemi Juhasz/Vittoria Urso/Marco Gazzoli (TA) | Politecnico di Torino | |
協力 敬称略 |
Comune di Cellamonte Museo del Cantone 和束町湯船財産区局長補佐 植村茂人 京宇治茶茶房山本甚次郎 上林記念館 中村藤吉本店 D-Matcha |
|
ISBN | 978-4-910743-66-0 | |
体裁 | A5判・256頁 | |
発行日 | 2025年3月21日 | |
編集 | 赤松加寿江 | |
エディトリアルデザイン | 綱島卓也 増田一真 薗部壌彦 |
|
発行 | 京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab |
本書は、京都工芸繊維大学とトリノ工科大学との共同ワークショップとして開催された「ポケット・ラボラトリー・プロジェクト」(2024年)と「ドリンクスケープ」(2019年)の記録・成果をまとめたものです。
ポケット・ラボラトリー・プロジェクト
–
大型機材に頼らず、日常的に使うスマートフォンやアプリだけを用いて、歴史的環境のデータを収集・分析することを試みたワークショップ。
舞台となったのは、ユネスコ世界遺産にも登録されている「ヴィラ・デッラ・レジーナ」。17世紀にサヴォイア家によって築かれたこのヴィラと、その周囲に広がる庭園を対象に、ミクロとマクロの両視点から迫ります。歴史GISや3Dフォトグラメトリ、音・熱・色・遺伝子・植生といった多様な情報をすべてスマートフォンで取得し、環境を立体的かつ共時的に読み解く、実験的なプロジェクトです。
比較対象として浮かび上がるのが、京都。川と山に囲まれた都市構造、王宮や御所に代表される広大な緑地、歴史的空間の重層性──トリノと京都の不思議な共通点が、国際的な共同研究の背景にあります。
「スマホでどこまでできるのか?」という問いから始まった本プロジェクトは、「ポケットにおさまる研究室=ポケット・ラボ」が切り拓く、新たな歴史環境研究の可能性を提示しています。
ドリンクスケープ
–
「宇治茶」と「ピエモンテワイン」という二つの飲料文化を手がかりに、飲料の生産を通じて形成されてきた文化的景観を探るワークショップ。
建築、都市、デザインを専門とする日伊両国の学生たちは、宇治茶の産地である京都・湯船地区と、ピエモンテワインの産地であるチェッラモンテ地区へ赴き、問題発見から地域の持続可能性に向けた提案を行いました。
湯船地区では、集落のランドスケープと建築にひそむメカニズムを理解することを課題とし、建築、都市、デザインの3つの専門分野に分かれて提案がなされました。チェッラモンテ地区では、旧採石場を中心にした集落回遊ルートの提案、展望所のデザイン提案、空き家リノベーション提案というテーマに分かれて検討・提案が進められました。
本ワークショップの成果は、これらの提案に加えて、提案に至るまでの景観読解、分析、デザインの「方法論」を共有し、交換した点にも見出されます。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
Pocket Lab 2024:
ヴィラ・デッラ・レジーナと無鄰菴の歴史的環境分析
Outline | 008 | |
「ポケット・ラボラトリー・プロジェクト」の概要 | 010 | |
ポケット・ラボラトリーとはなにか? | 018 | |
現地調査のテクニカルノート | 020 | |
Column…3D | 024 | |
Field Survey | 030 | |
Light | 032 | |
Perspective | 040 | |
Time | 044 | |
Analysis | 048 | |
歴史 | 050 | |
水・音 | 060 | |
人 | 070 | |
土・石 | 080 | |
光・熱 | 092 | |
緑 | 100 | |
暮らし | 112 | |
Summary & Prospect | 126 | |
まとめと展望 | 128 |
Drinkscape 2019:
ピエモンテワインと宇治茶の景観分析
Essays | 134 | |
What is Drinkscape? | 136 | |
和束町の景観施策にみるドリンクスケープの可能性 | 146 | |
drinkscapeの方法論 | 168 | |
ドリンクスケープとデザイン | 176 | |
Outline | 030 | |
トリノエ科大学+京都工芸繊維大学共同ワークショップ 一字治茶とピエモンテワインにおけるDrinkscape 2019 |
184 | |
Drinkscapes. A comparative glance at the productive landscapes in Japan and Italy |
190 | |
Yubune | 194 | |
湯船概要 | 196 | |
湯船|ランドスケープチーム | 200 | |
湯船|建築チーム | 208 | |
湯船|デザインチーム | 216 | |
Cella Monte | 224 | |
チェッラモンテ概要 | 226 | |
チェッラモンテ|Path | 230 | |
チェッラモンテ|Amphteater | 238 | |
チェッラモンテ|Village house | 244 |
クレジット
Pocket Lab 2024: ヴィラ・デッラ・レジーナと無鄰菴の歴史的環境分析 |
||
期間 | 2024年7月–2025年2月 | |
担当教員 | 赤松加寿江/菅健太郎/津田和俊 | 京都工芸繊維大学 |
参加者 各グループ 50音順 |
小石遼花/齋藤大成/杉山葵/谷口佳穂/檜皮拓也/藤巻大輝/三谷美琴 | 京都工芸繊維大学 |
Davide ARPELLINO/Elisa BUCCHERI Esteve DUTTO/Paolo MAMINO |
Politecnico di Torino | |
協力 敬称略 |
Prof. Mauro VOLPIANO (Resp.) Prof. Claudia CASSATELLA Prof. Enrico GOTTERO |
Politecnico di Torino |
Politecnico di Torino Construction History Group | ||
Post-Graduate School in Architectural and Landscape Heritage [Scuola di specializzazione in “BeniArchitettonici e del Paesaggio”, SBAP] |
||
門林理彩(TA) | 京都工芸繊維大学 | |
Valerio MORANDO (TA) | Politecnico di Torino | |
Drinkscape 2019: ピエモンテワインと宇治茶の景観分析 |
||
期間 | 2019年2月–2019年9月 | |
担当教員 | 小野芳朗/清水重敦/岡田栄造/大田省一/木村浩之/赤松加寿江 | 京都工芸繊維大学 |
Claudio Germak/Marco Santangelo/Massimo Crotti/Davide Rolfo/Mauro Berta/Bianca Maria Rinaldi/Claudia Cassatella/Silvia Barvero/Marco Bozzola/Beatrice Lerma | Politecnico di Torino | |
参加者 各グループ 50音順 |
新井晴子/三井凛子/岡本晋/大田彩香/安部未織/山出千加/後藤有美/渡邊香奈/野辺尚暉/荒木菜見子(TA) | 京都工芸繊維大学 |
Laura Munos Tascon/Mattia Salvador/Asja Aulisio/Eva Vanessa Bruno/Noemi Juhasz/Vittoria Urso/Marco Gazzoli (TA) | Politecnico di Torino | |
協力 敬称略 |
Comune di Cellamonte Museo del Cantone 和束町湯船財産区局長補佐 植村茂人 京宇治茶茶房山本甚次郎 上林記念館 中村藤吉本店 D-Matcha |
|
ISBN | 978-4-910743-66-0 | |
体裁 | A5判・256頁 | |
発行日 | 2025年3月21日 | |
編集 | 赤松加寿江 | |
エディトリアルデザイン | 綱島卓也 増田一真 薗部壌彦 |
|
発行 | 京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab |