KYOTO Design Labは、国際的に知られる著名な大学や研究機関などとの合同プロジェクトやワークショップを実施する中で、いくつもの交換留学の提携を結んできました。
今回から始まる留学レポートシリーズでは、D-labのプロジェクトを通じて新たに提携を結んだ「イギリス・キングストン大学」と「スイス・ルツェルン応用科学芸術大学」と「イタリア・トリノ工科大学」に交換留学中の近藤弘規さんと小林柚子さんと荒木菜見子さんに加え、「アメリカ・スタンフォード大学」で滞在研究を行う篠原由美子さんに寄稿してもらう予定です。
留学を検討中の皆さんはぜひ購読し、参考にしてください。
荒木さんからの第1回の留学レポート「歴史めぐり、トリノ紀行」では、イタリアのビザ申請の難しさ、博士後期課程での交換留学(Ph.dコース)について、さらにトリノ工科大学の研究についてレポート頂きます。
それでは、歴史的な街並が多く残るイタリアらしさに驚く荒木さんのレポートをどうぞ!
留学に至るまでーきっかけは突然に
こんにちは。京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 博士後期課程1回生の荒木菜見子です。
博士後期での留学ということで、一体どういう経緯なのか、ごあいさつ代わりに紹介したいと思います。
2011年に京都工芸繊維大学の造形工学課程に入学し、2015年に同大学修士課程の建築学専攻に進学しました。
そして2017年に博士後期課程に進学し、現在イタリア・トリノ工科大学Ph.D.コースに交換留学しています。
学部時代から都市史ゼミの中川・大田研究室に所属し、これまでに日本の戦後における商店街空間の歴史について研究をしてきています。
国内の研究しかしてこなかった私の前に、留学のきっかけは突然訪れました。
博士後期課程に進学して早々に、トリノ工科大学との交換留学プログラムが今年から始まるという話を聞いたのです。
それまで留学することについて考えたことはほとんどなかったのですが、M1の時にオランダ・デルフト工科大学の学生とのワークショップに参加したり、研究室でミャンマーへ調査に行ったりと、海外への抵抗はあまりなく、むしろいろんな新しい所へ行くことは好きな方でした。
そのため、今回の交換留学プロジェクトの話を聞いた時も、新しい環境に身を置くチャンスだと思いました。
これを機会に、研究者と名乗れるように、ちょっとでも何かを掴もう!という気持ちで、現在に至ります。
留学準備―ビザ取得に手こずる!
留学することを決めたのが4月で、出発が10月と、準備期間が短めでした。
周りの留学経験者の友達に話を聞きながら手探りで準備を始めましたが、何を差し置いても一番大変だったのがビザの取得です。
イタリアの場合は、日本にいる間に領事館へ直接必要書類を提出しに行くのですが、このためには予約が必要で、混みあっている時期だと2カ月近く先になってしまいます。
必要書類についても、領事館のホームページだけを見ていても勘違いしたり、分からなかったりすることもたくさんあり、本当に手こずりました。
留学先の大学からの受入許可証や、住居証明はイタリアから原本を送ってもらわなければなりませんし、受入許可証に関しては記載内容もチェックされます。
私の場合は交換留学用のビザだったので、「両校の交換留学制度に基づき、留学を許可する」ことを明確に示した文言が記載されていないと受け付けてもらえませんでした。
結局、出発日の3日前にようやくビザ取得という、ものすごく綱渡り的な留学準備になってしまいました。
これを乗り越えた今は、ちょっとやそっとのトラブルには動じない精神力を手に入れたと思っていますが、後に続く皆さんにはこんな状況に陥ってほしくないので、この失敗談を教訓にしたい方は連絡いただければと思います。笑
歴史あるまちトリノと、ここで学ぶ魅力
さて、やっとたどり着いたトリノについてご紹介します。ここトリノはイタリア北部、ピエモンテ州の都市です。
16世紀にイタリアが統一され王国となったときには首都が置かれ、その頃に建設されたバロックの王宮群は世界遺産になっています。
なんとトリノ工科大学の建築学部はこの王宮群のうちのひとつであるヴァレンティノ城に入っています。
王宮群が建設されたときに、街路や広場にポルティコと呼ばれる、日本でいうアーケード空間が一緒に建設されました。
旧市街の中心である王宮広場から延びるいくつものポルティコ付き街路は、トリノの街並みを構成する最も特徴的な要素のひとつです。
現在では多くのお店がその側面の建物に入っていて、人々がショッピングを楽しんだり、カフェでお茶をしたり、毎日にぎやかです。
トリノで学ぶ一年間では、ポルティコの空間が王国の首都としてのトリノに初めて登場してから現在に至るまで、どのような変遷を辿っているかということを調査してまとめようと思っています。
歴史あるまちを対象に研究ができるというのはとても面白いことです。
歴史が動いた場所には必ず人が関わっていますし、「歴史=人がどう動いたのか」を知ることは、研究のことはさておくとしても、知的好奇心を満たす充分な魅力があるなあと思います。
次回は研究室の様子や学生たちの過ごし方についてお伝えしたいと思います。
ライター紹介:荒木菜見子
1993年生まれ。京都工芸繊維大学大学院 建築学専攻 中川・大田研究室 博士後期課程1年生。好きな言葉は「上善は水の如し」。
今回のレポートまとめ
1. 申請はとにかく早く動き出すことが大事!
2. トリノ工科大学キャンパスはお城!
3. 身近に歴史的な商業空間を研究できる魅力!
留学の相談は、京都工芸繊維大学の国際課へご連絡下さい。
次回のレポート歴史めぐり、トリノ紀行 vol.2」の公開は、2月上旬を予定しています。こうご期待!
KYOTO Design Labは、国際的に知られる著名な大学や研究機関などとの合同プロジェクトやワークショップを実施する中で、いくつもの交換留学の提携を結んできました。
今回から始まる留学レポートシリーズでは、D-labのプロジェクトを通じて新たに提携を結んだ「イギリス・キングストン大学」と「スイス・ルツェルン応用科学芸術大学」と「イタリア・トリノ工科大学」に交換留学中の近藤弘規さんと小林柚子さんと荒木菜見子さんに加え、「アメリカ・スタンフォード大学」で滞在研究を行う篠原由美子さんに寄稿してもらう予定です。
留学を検討中の皆さんはぜひ購読し、参考にしてください。
荒木さんからの第1回の留学レポート「歴史めぐり、トリノ紀行」では、イタリアのビザ申請の難しさ、博士後期課程での交換留学(Ph.dコース)について、さらにトリノ工科大学の研究についてレポート頂きます。
それでは、歴史的な街並が多く残るイタリアらしさに驚く荒木さんのレポートをどうぞ!
留学に至るまでーきっかけは突然に
こんにちは。京都工芸繊維大学大学院建築学専攻 博士後期課程1回生の荒木菜見子です。
博士後期での留学ということで、一体どういう経緯なのか、ごあいさつ代わりに紹介したいと思います。
2011年に京都工芸繊維大学の造形工学課程に入学し、2015年に同大学修士課程の建築学専攻に進学しました。
そして2017年に博士後期課程に進学し、現在イタリア・トリノ工科大学Ph.D.コースに交換留学しています。
学部時代から都市史ゼミの中川・大田研究室に所属し、これまでに日本の戦後における商店街空間の歴史について研究をしてきています。
国内の研究しかしてこなかった私の前に、留学のきっかけは突然訪れました。
博士後期課程に進学して早々に、トリノ工科大学との交換留学プログラムが今年から始まるという話を聞いたのです。
それまで留学することについて考えたことはほとんどなかったのですが、M1の時にオランダ・デルフト工科大学の学生とのワークショップに参加したり、研究室でミャンマーへ調査に行ったりと、海外への抵抗はあまりなく、むしろいろんな新しい所へ行くことは好きな方でした。
そのため、今回の交換留学プロジェクトの話を聞いた時も、新しい環境に身を置くチャンスだと思いました。
これを機会に、研究者と名乗れるように、ちょっとでも何かを掴もう!という気持ちで、現在に至ります。
留学準備―ビザ取得に手こずる!
留学することを決めたのが4月で、出発が10月と、準備期間が短めでした。
周りの留学経験者の友達に話を聞きながら手探りで準備を始めましたが、何を差し置いても一番大変だったのがビザの取得です。
イタリアの場合は、日本にいる間に領事館へ直接必要書類を提出しに行くのですが、このためには予約が必要で、混みあっている時期だと2カ月近く先になってしまいます。
必要書類についても、領事館のホームページだけを見ていても勘違いしたり、分からなかったりすることもたくさんあり、本当に手こずりました。
留学先の大学からの受入許可証や、住居証明はイタリアから原本を送ってもらわなければなりませんし、受入許可証に関しては記載内容もチェックされます。
私の場合は交換留学用のビザだったので、「両校の交換留学制度に基づき、留学を許可する」ことを明確に示した文言が記載されていないと受け付けてもらえませんでした。
結局、出発日の3日前にようやくビザ取得という、ものすごく綱渡り的な留学準備になってしまいました。
これを乗り越えた今は、ちょっとやそっとのトラブルには動じない精神力を手に入れたと思っていますが、後に続く皆さんにはこんな状況に陥ってほしくないので、この失敗談を教訓にしたい方は連絡いただければと思います。笑
歴史あるまちトリノと、ここで学ぶ魅力
さて、やっとたどり着いたトリノについてご紹介します。ここトリノはイタリア北部、ピエモンテ州の都市です。
16世紀にイタリアが統一され王国となったときには首都が置かれ、その頃に建設されたバロックの王宮群は世界遺産になっています。
なんとトリノ工科大学の建築学部はこの王宮群のうちのひとつであるヴァレンティノ城に入っています。
王宮群が建設されたときに、街路や広場にポルティコと呼ばれる、日本でいうアーケード空間が一緒に建設されました。
旧市街の中心である王宮広場から延びるいくつものポルティコ付き街路は、トリノの街並みを構成する最も特徴的な要素のひとつです。
現在では多くのお店がその側面の建物に入っていて、人々がショッピングを楽しんだり、カフェでお茶をしたり、毎日にぎやかです。
トリノで学ぶ一年間では、ポルティコの空間が王国の首都としてのトリノに初めて登場してから現在に至るまで、どのような変遷を辿っているかということを調査してまとめようと思っています。
歴史あるまちを対象に研究ができるというのはとても面白いことです。
歴史が動いた場所には必ず人が関わっていますし、「歴史=人がどう動いたのか」を知ることは、研究のことはさておくとしても、知的好奇心を満たす充分な魅力があるなあと思います。
次回は研究室の様子や学生たちの過ごし方についてお伝えしたいと思います。
ライター紹介:荒木菜見子
1993年生まれ。京都工芸繊維大学大学院 建築学専攻 中川・大田研究室 博士後期課程1年生。好きな言葉は「上善は水の如し」。
今回のレポートまとめ
1. 申請はとにかく早く動き出すことが大事!
2. トリノ工科大学キャンパスはお城!
3. 身近に歴史的な商業空間を研究できる魅力!
留学の相談は、京都工芸繊維大学の国際課へご連絡下さい。
次回のレポート歴史めぐり、トリノ紀行 vol.2」の公開は、2月上旬を予定しています。こうご期待!