RCAヴィジュアルコミュニケーションとの共同ワークショップ「谷川俊太郎のラジオ—音と映像のコミュニケーションデザイン」および、KYOTO Design Lab 東京ギャラリーにて2017年5月28日まで開催していた「デザイン・インタープリテーションズ|谷川俊太郎のラジオ」展に関するレポートが、英国王立芸術学院(Royal College of Art [RCA])のウェブサイトに掲載されました。

以下、掲載テキストの翻訳を転載いたします。

英国王立芸術学院コミュニケーションデザイン学部の学生とメンターが、京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labとの協働で、谷川俊太郎のヴィンテージラジオコレクションをもとに再解釈した作品を制作しました。KYOTO Design Lab 東京ギャラリーに展示された作品は、谷川俊太郎の詩と同様に、物理的なオブジェクトとしてのラジオ、メディウムとしてのラジオコミュニケーションを探求するものです。

谷川俊太郎(1931年生まれ)は、最も広く読まれ、高く評価されている日本の詩人の一人です。 2010年、彼は自身が所有する、主にアメリカ製のヴィンテージラジオの幅広いコレクションを、関連するポスターや出版物とともに京都工芸繊維大学に寄贈しました。ラジオとラジオエンジニアリングへの彼の情熱は、放送されるコンテンツ以上に、ラジオが潜在的にもつ、地理的に離れた場所に接続する可能性に向けられています。

「美術館は、あらゆる年齢、能力、文化、社会的背景を持つ人々が、それぞれのしかたで、主にテキストではなくオブジェクトを通して学ぶ機会を提供します」と、KYOTO Design Labのジュリア・カセム特任教授は話します。 「このようなアーカイブ、とりわけ谷川俊太郎のような興味深い方が保有するコレクションは、さまざまなレベルで想像力に富んだ会話を始めることができます。このワークショップでは、ラジオについての2つの詩をデザインの出発点として使用しましたが、ラジオそれ自体が美しいオブジェクトであり、純粋にそのレベルにおいて探求することができます。」

ジュリア・カセム特任教授は、KYOTO Design Labでの谷川俊太郎のラジオを再解釈する5日間のワークショップを開催するために、RCAのインフォメーション・エクスペリエンス・デザイン(IED)プログラム主任のケビン・ウォーカー氏、ヴィジュアル・コミュニケーション学科チューターのデビー・クック氏、そしてIED客員講師のスズキユウリ氏を招聘しました。 3名のIEDと2名のヴィジュアル・コミュニケーション学科の修士の学生が公募から選ばれ、京都工芸繊維大学の学生と外部の参加者と共に、ワークショップに参加しました。彼らは、さまざまなメディアにおいて、コレクションに新たな命を吹き込み、谷川作品の重要性を強調する、独自に解釈したプロトタイプをデザインすることが求められました。

ワークショップの結果は洗練され、スズキユウリ氏が制作した展示の中核をなすサウンド作品と並んで、KYOTO Design Lab 東京ギャラリーに展示されました。 RCAの学生たちは、2つのチームで展示作品を制作し、谷川俊太郎とのSkypeによるギャラリートークに参加しました。

谷川俊太郎の詩「夜のラジオ」からの2行は、ビジュアル・コミュニケーションの学生にインスピレーションを与えました。

「どうして耳は自分の能力以上に聞こうとするのだろう/でも今は何もかも聞こえ過ぎるような気がするから(谷川俊太郎「夜のラジオ」, 『世間知ラズ』思潮社, 1993年5月, pp.46 所収)」

彼らのインタラクティブな作品は、情報過多の考え方を探求するものです。人々がクッションに座ってインスタレーションに接するにつれて、マルチボイスオーディオは徐々に途切れ、人々の間で会話が発生する静かな空間が生み出されます。

IEDの学生は、谷川俊太郎が生きた第二次世界大戦のような、災害時に使用するためのスペキュラティヴな未来のウェアラブルラジオデバイスを制作しました。 「日本の学生とデザインについて意見を交わす作業は素晴らしかった」と、IEDの学生であるフランシスコ・ノリス氏は話します。 「文化的、慣習的な困難に遭遇しましたが、彼らのバックグラウンドが多様であるため、そのデザインアプローチもまた異なっていました。谷川俊太郎の詩に呼応し、正しい文脈で英語での翻訳を理解するためには、日本の社会について学ぶ必要がありました。」

RCA website: RCA Communication Students Interpret Radio Waves in Tokyo

KYOTO Design Lab 東京ギャラリー
デザイン・インタープリテーションズ|谷川俊太郎のラジオ

会期|2017年4月22日(土)〜5月28日(日)
会場|京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab東京ギャラリー|東京都千代田区外神田6丁目11-14アーツ千代田3331 203号室
主催|京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab

A report article about “Design Interpretations | Tanikawa Shuntaro’s Radio Waves” exhibited at KYOTO Design Lab Tokyo Gallery from 22 April to 28 May, 2017 was published on the Royal College of Art [RCA] website.

RCA website: RCA Communication Students Interpret Radio Waves in Tokyo