KYOTO Design Labは、国際的に知られる著名な大学や研究機関などとの合同プロジェクトやワークショップを実施する中で、いくつもの交換留学の提携を結んできました。
昨年から始まった留学レポートシリーズでは、D-labのプロジェクトを通じて新たに提携を結んだ「イギリス・キングストン大学」と「スイス・ルツェルン応用科学芸術大学」と「イタリア・トリノ工科大学」に交換留学中の近藤弘規さんと小林柚子さんと荒木菜見子さんに加え、「アメリカ・スタンフォード大学」で滞在研究を行う篠原由美子さんに寄稿してもっています。
荒木さんによる留学レポート「歴史めぐり、トリノ紀行」の最終回では、1年間取り組んできた研究の報告についてについてレポート頂きました。
留学を検討中の皆さんはぜひ参考にしてください。
過去のレポート記事はこちらから≫
[留学レポート]歴史めぐり、トリノ紀行 vol.1
[留学レポート]歴史めぐり、トリノ紀行 vol.2
こんにちは。“歴史巡り、トリノ紀行”、今回をもって最終回となりました。
締めくくりとして、私がこれまでトリノの街、そして研究対象である都市内の屋根付き回廊空間を、どのように見てきたのかについてお伝えしたいと思います。
ポルティコとガッレリア
第2回のレポートでお伝えしているように、トリノでは「ポルティコ」と呼ばれる屋根付き回廊空間が街中のいたるところで見られます。
多くのお店が回廊に面する建物に入っており、訪れる人はショッピングを楽しんだり、カフェでお茶をしたりしています。
ポルティコのリサーチを始めると、この留学レポートの連載開始時には注目していなかった「ガッレリア」と呼ばれる空間も、トリノの街を構成する特徴的な要素のひとつとして着目するようになりました。
ガッレリアはポルティコとは違い、建物に囲まれた半閉鎖的な空間であり、ガラス屋根で覆われているのが特徴です。
トリノ市内には3つのガッレリアがあり、街路からアプローチすることが可能で、2方向以上の入口が設けられ通り抜けができるという点が特徴です。
そしてさらに興味深いのは、これらすべてがポルティコ付きの街路と接しているということです。
ガッレリアの都市内での役割とは
さて、このガッレリアの空間はどのように利用されているのでしょうか。
日本のアーケード商店街のように、ガッレリア内部に面する部分には店舗が入っており、またポルティコの空間と同様にカフェのテラス席が設けられるなど、商業エリアとしての性格が見られます。
このような、店舗やカフェの利用をガッレリアにおける恒常的な利用であるとすると、他方で一時的な利用も見られます。
それはストリートパフォーマーの出現であったり、夜になるとホームレスの人が布団を持って寝に来たり、時にはイベント会場として利用されたり、といった具合です。
また、ガッレリアの都市内での立地関係から、それぞれを特徴付けることもできそうです。
広場と広場を結ぶ立地にあるため、この間の短縮経路として“通り抜けに利用されるガッレリア”や、逆に、メインの街路から脇に入るような立地であるために“屋根付きの広場のように利用されるガッレリア”などです。
このように、観察を積み重ねることで、屋根で覆われた都市内のパブリックスペースとしてのガッレリアが、どういった役割を持つのかということを導き出せればなと思っています。この研究は、まだまだ途中なんですけどね。
トリノ工科大の都市研究
薄々お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、現在、留学レポート連載開始時とは違ったテーマで調査を行っています。
というのも、歴史の調査となると古いイタリア語で書かれた文献の調査には、外国人にとって限界があること、そもそもポルティコやガッレリアの成立過程といった歴史調査は既にイタリア国内に研究が存在する、ということがあったため、紆余曲折を経て現在取り組むテーマにたどり着きました。
そしてここに至るまで、都市研究にたずさわるさまざまな先生方に協力いただいていますが、その中でも皆さん違った専門分野をお持ちです。
トリノの都市史が専門の方、他都市が専門の方、また歴史が専門の方、都市構造が専門の方、いろいろです。
調査の報告会の時には、受入担当教授の他にも数名の先生が同席して違った視点からのコメントを学生に与えています。
白熱して先生方同士が意見をぶつけ合うこともあり、こうしてさまざまなものの見方を研究に取り込んでいくのか、と感じる今日この頃です。
さて、トリノで何を見たか、自分がどう感じたかをそのまま記録するような、ざっくばらんなレポートになってしまったような気がしますが、これで“歴史巡り、トリノ紀行は閉じたいと思います。
帰国後に一連の調査内容を何らかの形でまとめることができるよう、残された留学期間で、トリノでしかできない現地調査をすすめていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ライター紹介:荒木菜見子
1993年生まれ。京都工芸繊維大学大学院 建築学専攻 中川・大田研究室 博士後期課程1年生。好きな言葉は「上善は水の如し」。
今回のレポートまとめ
1. ガラス屋根の半閉鎖空間 ガレッリア!
2. ガレッリアごとの特徴について研究!
3. 既往研究や文献調査には現地語の壁があり!
留学の相談は、京都工芸繊維大学の国際課へご連絡下さい。
KYOTO Design Labは、国際的に知られる著名な大学や研究機関などとの合同プロジェクトやワークショップを実施する中で、いくつもの交換留学の提携を結んできました。
昨年から始まった留学レポートシリーズでは、D-labのプロジェクトを通じて新たに提携を結んだ「イギリス・キングストン大学」と「スイス・ルツェルン応用科学芸術大学」と「イタリア・トリノ工科大学」に交換留学中の近藤弘規さんと小林柚子さんと荒木菜見子さんに加え、「アメリカ・スタンフォード大学」で滞在研究を行う篠原由美子さんに寄稿してもっています。
荒木さんによる留学レポート「歴史めぐり、トリノ紀行」の最終回では、1年間取り組んできた研究の報告についてについてレポート頂きました。
留学を検討中の皆さんはぜひ参考にしてください。
過去のレポート記事はこちらから≫
[留学レポート]歴史めぐり、トリノ紀行 vol.1
[留学レポート]歴史めぐり、トリノ紀行 vol.2
こんにちは。“歴史巡り、トリノ紀行”、今回をもって最終回となりました。
締めくくりとして、私がこれまでトリノの街、そして研究対象である都市内の屋根付き回廊空間を、どのように見てきたのかについてお伝えしたいと思います。
ポルティコとガッレリア
第2回のレポートでお伝えしているように、トリノでは「ポルティコ」と呼ばれる屋根付き回廊空間が街中のいたるところで見られます。
多くのお店が回廊に面する建物に入っており、訪れる人はショッピングを楽しんだり、カフェでお茶をしたりしています。
ポルティコのリサーチを始めると、この留学レポートの連載開始時には注目していなかった「ガッレリア」と呼ばれる空間も、トリノの街を構成する特徴的な要素のひとつとして着目するようになりました。
ガッレリアはポルティコとは違い、建物に囲まれた半閉鎖的な空間であり、ガラス屋根で覆われているのが特徴です。
トリノ市内には3つのガッレリアがあり、街路からアプローチすることが可能で、2方向以上の入口が設けられ通り抜けができるという点が特徴です。
そしてさらに興味深いのは、これらすべてがポルティコ付きの街路と接しているということです。
ガッレリアの都市内での役割とは
さて、このガッレリアの空間はどのように利用されているのでしょうか。
日本のアーケード商店街のように、ガッレリア内部に面する部分には店舗が入っており、またポルティコの空間と同様にカフェのテラス席が設けられるなど、商業エリアとしての性格が見られます。
このような、店舗やカフェの利用をガッレリアにおける恒常的な利用であるとすると、他方で一時的な利用も見られます。
それはストリートパフォーマーの出現であったり、夜になるとホームレスの人が布団を持って寝に来たり、時にはイベント会場として利用されたり、といった具合です。
また、ガッレリアの都市内での立地関係から、それぞれを特徴付けることもできそうです。
広場と広場を結ぶ立地にあるため、この間の短縮経路として“通り抜けに利用されるガッレリア”や、逆に、メインの街路から脇に入るような立地であるために“屋根付きの広場のように利用されるガッレリア”などです。
このように、観察を積み重ねることで、屋根で覆われた都市内のパブリックスペースとしてのガッレリアが、どういった役割を持つのかということを導き出せればなと思っています。この研究は、まだまだ途中なんですけどね。
トリノ工科大の都市研究
薄々お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、現在、留学レポート連載開始時とは違ったテーマで調査を行っています。
というのも、歴史の調査となると古いイタリア語で書かれた文献の調査には、外国人にとって限界があること、そもそもポルティコやガッレリアの成立過程といった歴史調査は既にイタリア国内に研究が存在する、ということがあったため、紆余曲折を経て現在取り組むテーマにたどり着きました。
そしてここに至るまで、都市研究にたずさわるさまざまな先生方に協力いただいていますが、その中でも皆さん違った専門分野をお持ちです。
トリノの都市史が専門の方、他都市が専門の方、また歴史が専門の方、都市構造が専門の方、いろいろです。
調査の報告会の時には、受入担当教授の他にも数名の先生が同席して違った視点からのコメントを学生に与えています。
白熱して先生方同士が意見をぶつけ合うこともあり、こうしてさまざまなものの見方を研究に取り込んでいくのか、と感じる今日この頃です。
さて、トリノで何を見たか、自分がどう感じたかをそのまま記録するような、ざっくばらんなレポートになってしまったような気がしますが、これで“歴史巡り、トリノ紀行は閉じたいと思います。
帰国後に一連の調査内容を何らかの形でまとめることができるよう、残された留学期間で、トリノでしかできない現地調査をすすめていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ライター紹介:荒木菜見子
1993年生まれ。京都工芸繊維大学大学院 建築学専攻 中川・大田研究室 博士後期課程1年生。好きな言葉は「上善は水の如し」。
今回のレポートまとめ
1. ガラス屋根の半閉鎖空間 ガレッリア!
2. ガレッリアごとの特徴について研究!
3. 既往研究や文献調査には現地語の壁があり!
留学の相談は、京都工芸繊維大学の国際課へご連絡下さい。