KYOTO Design Lab主催で開催した、HoudiniとUnreal Editor for Fortnite(UEFN)を使ってメタバース空間にオリジナルの世界を創り出すワークショップ「パラメトリック・ワールド」。2024年3月4日から2024年4月19日までの7週間、全14回にわたって開催され、約11時間に及んだ最終講評会の様子はオンラインでライブ配信されました。
参加者の多くがほぼ未経験の状態からHoudiniとUEFNを習得し、わずか2ヶ月間で、コンセプトづくりからHoudiniを使ったプロシージャルなワールド制作、UEFNを使ったインタラクション制作までを行い、各チームが独自の世界観をもった仮想世界の遊びを創生しました。
本ワークショップには、京都工芸繊維大学の学生も多く参加者しており、ワークショップ終了後も作品の一般公開に向けてアップデートを続けています。そんな彼ら彼女らに、ワークショップ当時に考えていたことやその後について聞きました。
1|「Astrala」
徃西賢悟(デザイン・建築学課程4年)
篠原典子(デザイン・建築学課程4年)
2|「ARIFUJI IN WONDERLAND」
加芝亮(建築学専攻 2023年3月修了)
西村穏(建築学専攻 2年)
3|「Lostscape」
三木若菜(デザイン・建築学課程4年)
矢野絢子(デザイン・建築学課程4年)
松本健太郎(デザイン・建築学課程3年)
「Astrala」
徃西賢悟(デザイン・建築学課程4年)
篠原典子(デザイン・建築学課程4年)
「Astrala」は、地球と火星の間にある「宇宙の経由地=アストラ」で排出された廃棄物の回収量を競い合うゲームですが、そのアイデアはどこから来たのですか。
徃西:篠原さんと2人で作るとなったときに、お互いSF作品が好きだったので、最初からSF的なワールドを作ろうとは考えていました。それとゲーム性を強く意識していたので、どういうゲーム設計にすれば面白いかを考えたときに、グループ戦でスコアを競い合うというアイデアに行き着きました。そこから、作った世界観の中でどういうインタラクションができるかを考えていった、という感じです。
それで、何かアイテムを取って、スコアが一番高いチームが勝ちというゲームにしたので、それにシナリオやストーリーが合うものは何だろうと考えたときに、プレイヤーがスペースデブリを地球に持って帰る役割を持たされているという設定にしました。
アイデアを具体化する際にどんなことを意識していましたか。
徃西:作り始めたころはコンセプト重視でやっていたんですけど、ある程度固まってからはゲーム性を重視して、プレイヤーがどういう体験をしたら面白いかを考えながら作っていきました。
ただ、筋の通ってない設定が嫌だったので、コンセプトを作るときに必然性をすごく考えました。例えば、ワールドに張り巡らされているレールは、マグレブシステムっていうリニア新幹線のように磁力で浮かせる方式で、車輪がなくても人が乗ってそのまま移動できるみたいな、そういうSFチックな設定にしています。他にも、実際の画面には全然出てないんですけど、いろんな場所やオブジェクトにも意味があリます。
作品を作る中で難しかったことは何ですか。
篠原:私は全部難しかった(笑)。ゲームシステムを作るのも大変だったし、Houdiniでモデリングしたのはいいけどデータ量を減らすのが大変だったりとか。
徃西:ワールドに建っているビルには3種類あって、篠原さんが全部プロシージャルに作ってくれたんですけど、ビルの形状によって構造のパイプをランダムに変えるのは苦労しました。
それから、ゲームの導入で流れるチュートリアル映像も篠原さんが作ってくれていて、その文字組もけっこう苦労しました。UEFNで映像が作れることすら僕は知らなかったんですけど、そういうツールがあることを後で知って篠原さんに話したら、「じゃあ作ってみてみる」って言ってくれて。それで、作ってくれた映像を見たら、「マジか!」って言うぐらいクオリティが高くて驚きました。
篠原:UEFNで映像を作るときって、ゲーム内でカメラを動かしていくんですけど、現実世界でカメラを動かすときってだいぶ感覚的じゃないですか。ゲーム内でも同じで、感覚的にここら辺だなっていうのを繰り返して身につけていったという感じです。最初に出来上がりのイメージがあったとかではなくて、何回もトライ&エラーを繰り返して作りました。
徃西:あ、そうだ。一番苦労したのはレールかもしれないです。レールはHoudiniでプロシージャルに作れなくて。ワールド内には100本近くレールが張り巡らされているんですけど、UEFNで全て手動で作ったんです。これにめっちゃ時間がかかりました。アンカーポイントみたいなもので一つ一つ曲げていって、しかも3次元なので気づいたら実は建物を貫通してたとか、いろんなトラブルがあって。ワークショップの最後の方は、最終発表に間に合うかヒヤヒヤしながらやってました。
ワールドを広く作っちゃったっていうのもあって、プレイヤーが移動することを楽しめるようにしたかったので、この世界観を生かしながらそれを実現できる方法がないか考えたときにレールを思いついて。最初に1本だけレールを引いて試してみたらすごい面白くて、これは絶対この世界観とマッチすると思ったので、苦労したんですけどやり切りました。
今回のワークショップの経験は今後何かに活かせそうですか。
篠原:ワークショップを通してHoudiniを使えるようになったから、Houdiniを使って構造計算できないかなとかぼんやり思ったりしています。
徃西:僕は3Dプリンターを使って卒業制作をしていきたいと思ってるので、そのときにHoudiniを使えればと思っています。
KYOTO Design Lab主催で開催した、HoudiniとUnreal Editor for Fortnite(UEFN)を使ってメタバース空間にオリジナルの世界を創り出すワークショップ「パラメトリック・ワールド」。2024年3月4日から2024年4月19日までの7週間、全14回にわたって開催され、約11時間に及んだ最終講評会の様子はオンラインでライブ配信されました。
参加者の多くがほぼ未経験の状態からHoudiniとUEFNを習得し、わずか2ヶ月間で、コンセプトづくりからHoudiniを使ったプロシージャルなワールド制作、UEFNを使ったインタラクション制作までを行い、各チームが独自の世界観をもった仮想世界の遊びを創生しました。
本ワークショップには、京都工芸繊維大学の学生も多く参加者しており、ワークショップ終了後も作品の一般公開に向けてアップデートを続けています。そんな彼ら彼女らに、ワークショップ当時に考えていたことやその後について聞きました。
1|「Astrala」
徃西賢悟(デザイン・建築学課程4年)
篠原典子(デザイン・建築学課程4年)
2|「ARIFUJI IN WONDERLAND」
加芝亮(建築学専攻 2023年3月修了)
西村穏(建築学専攻 2年)
3|「Lostscape」
三木若菜(デザイン・建築学課程4年)
矢野絢子(デザイン・建築学課程4年)
松本健太郎(デザイン・建築学課程3年)
「Astrala」
徃西賢悟(デザイン・建築学課程4年)
篠原典子(デザイン・建築学課程4年)
「Astrala」は、地球と火星の間にある「宇宙の経由地=アストラ」で排出された廃棄物の回収量を競い合うゲームですが、そのアイデアはどこから来たのですか。
徃西:篠原さんと2人で作るとなったときに、お互いSF作品が好きだったので、最初からSF的なワールドを作ろうとは考えていました。それとゲーム性を強く意識していたので、どういうゲーム設計にすれば面白いかを考えたときに、グループ戦でスコアを競い合うというアイデアに行き着きました。そこから、作った世界観の中でどういうインタラクションができるかを考えていった、という感じです。
それで、何かアイテムを取って、スコアが一番高いチームが勝ちというゲームにしたので、それにシナリオやストーリーが合うものは何だろうと考えたときに、プレイヤーがスペースデブリを地球に持って帰る役割を持たされているという設定にしました。
アイデアを具体化する際にどんなことを意識していましたか。
徃西:作り始めたころはコンセプト重視でやっていたんですけど、ある程度固まってからはゲーム性を重視して、プレイヤーがどういう体験をしたら面白いかを考えながら作っていきました。
ただ、筋の通ってない設定が嫌だったので、コンセプトを作るときに必然性をすごく考えました。例えば、ワールドに張り巡らされているレールは、マグレブシステムっていうリニア新幹線のように磁力で浮かせる方式で、車輪がなくても人が乗ってそのまま移動できるみたいな、そういうSFチックな設定にしています。他にも、実際の画面には全然出てないんですけど、いろんな場所やオブジェクトにも意味があリます。
作品を作る中で難しかったことは何ですか。
篠原:私は全部難しかった(笑)。ゲームシステムを作るのも大変だったし、Houdiniでモデリングしたのはいいけどデータ量を減らすのが大変だったりとか。
徃西:ワールドに建っているビルには3種類あって、篠原さんが全部プロシージャルに作ってくれたんですけど、ビルの形状によって構造のパイプをランダムに変えるのは苦労しました。
それから、ゲームの導入で流れるチュートリアル映像も篠原さんが作ってくれていて、その文字組もけっこう苦労しました。UEFNで映像が作れることすら僕は知らなかったんですけど、そういうツールがあることを後で知って篠原さんに話したら、「じゃあ作ってみてみる」って言ってくれて。それで、作ってくれた映像を見たら、「マジか!」って言うぐらいクオリティが高くて驚きました。
篠原:UEFNで映像を作るときって、ゲーム内でカメラを動かしていくんですけど、現実世界でカメラを動かすときってだいぶ感覚的じゃないですか。ゲーム内でも同じで、感覚的にここら辺だなっていうのを繰り返して身につけていったという感じです。最初に出来上がりのイメージがあったとかではなくて、何回もトライ&エラーを繰り返して作りました。
徃西:あ、そうだ。一番苦労したのはレールかもしれないです。レールはHoudiniでプロシージャルに作れなくて。ワールド内には100本近くレールが張り巡らされているんですけど、UEFNで全て手動で作ったんです。これにめっちゃ時間がかかりました。アンカーポイントみたいなもので一つ一つ曲げていって、しかも3次元なので気づいたら実は建物を貫通してたとか、いろんなトラブルがあって。ワークショップの最後の方は、最終発表に間に合うかヒヤヒヤしながらやってました。
ワールドを広く作っちゃったっていうのもあって、プレイヤーが移動することを楽しめるようにしたかったので、この世界観を生かしながらそれを実現できる方法がないか考えたときにレールを思いついて。最初に1本だけレールを引いて試してみたらすごい面白くて、これは絶対この世界観とマッチすると思ったので、苦労したんですけどやり切りました。
今回のワークショップの経験は今後何かに活かせそうですか。
篠原:ワークショップを通してHoudiniを使えるようになったから、Houdiniを使って構造計算できないかなとかぼんやり思ったりしています。
徃西:僕は3Dプリンターを使って卒業制作をしていきたいと思ってるので、そのときにHoudiniを使えればと思っています。