京都工芸繊維大学大学院の特別教育コースである建築都市保存再生学コースは5年目に入った。今年度は、昨今の文化財保護法の大改正を踏まえ、歴史的建築物の保存活用を担う人材と組織について考えたい。
従来、歴史的建築物は、国や自治体が制定する文化財に指定し「保存」することが最良の残し方であるかのように考えられてきた。しかし、1996年に国の登録文化財制度が登場して以来「活用」が新たな課題となり、2019年4月の改正文化財保護法の施行により、「活用」がより重視されるような制度に大きく変わった。それにともない、歴史的建築物の保存活用に際して専門家や専門組織が、所有者らに対して助言し、保存活用計画を立てることができるようになった。
そんな中で問題となるのが、歴史的建築物の保存活用を担う人材や組織のあり方であろう。従来の文化財の「保存」のように、行政と学識経験者らが建物の歴史的・文化的価値を位置づけるだけでは不十分で、さまざまな経験や知識を基に、所有者に対して有効な保存活用のあり方を提言し、実践的にリードできる人材や組織の役割が重要になる。
近年、ヘリテージマネージャーが全国規模で育成され、またさまざまな組織が設立され、歴史的建築物の保存活用に向けて重要な役割を担いつつあり、実績や成果も増えている。しかし長期的な視野に立ち、自治体や所有者らとともに文化遺産を活用していくには、未知の部分や課題も多い。
今回のシンポジウムでは、歴史的建築物のマネージメントを実践している方や組織の代表者をお招きし、これまでの成果と今後の課題についてお話しいただく。歴史的建築物のよりよい保存活用に向けて、知見を共有したい。
概要
日時|2019年8月4日[日]13時30分-
会場|京都工芸繊維大学 60周年記念館 1階 記念ホール
住所|京都市左京区松ヶ崎橋上町1(京都市営地下鉄松ヶ崎駅下車徒歩10分)
定員|170名
入場|無料(申込不要、当日先着順)
講師
梅津章子[文化庁文化資源活用課文化財調査官]
笠原啓史[建築家・認定NPO法人古材文化の会理事]
金山眞人[建築家・東京ヘリテージマネージャーの会代表・(一社)東京建築士会ヘリテージマネージャー養成講座検討特別委員会委員]
司会・進行
田原幸夫[京都工芸繊維大学客員教授]
笠原一人[京都工芸繊維大学助教]
プログラム
13:30 趣旨説明 笠原一人[京都工芸繊維大学助教 KYOTO Design Lab 兼任]
13:50 講演1. 梅津章子|歴史的建造物の保存活用に期待される民間の役割-改正文化財保護法-
14:35 講演2. 笠原啓史|大切にしたい建物を未来につなぐ-所有者に寄り添う”見守るネット”の活動から-
15:20 休憩
15:30 講演3. 金山眞人|東京ヘリテージマネージャー始動-その意義と課題-
16:15 座談会 梅津章子+笠原啓史+金山眞人+田原幸夫+笠原一人
18:00 講師・参加者による懇親会 @プラザKIT(会費制)
主催|京都工芸繊維大学大学院建築学専攻、KYOTO Design Lab
後援|認定NPO法人古材文化の会、東京ヘリテージマネージャーの会、一般社団法人東京建築士会、日本イコモス国内委員会、DOCOMOMO Japan
問い合わせ
国立大学法人 京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 事務局
info@133.16.196.65|tel: 075 -724 -7283|www.d-lab.kit.ac.jp
Facebook: KYOTO Design Lab|Twitter: @kyotodesignlab
The first Symposium on Conservation and Revitalization will be held on 4 August 2019.
Graduate School, Kyoto Institute of Technology, 2019 Postgraduate Program on Conservation and Revitalization of Architectural and Urban Heritage.
Date: Sunday, 4 August 13:30-
Venue: 60th Anniversary Hall, Kyoto Institute of Technology
Schedule
13:30-
Introduction: Kazuto (Assistant Professor, Kyoto Institute of Technology)
13:50 Lecture.1 Akiko Umezu
14:35 Lecture.2 Keishi Kasahara
15:20 an interval
15:30 Lecture.3 Mahito Kanayama
16:15 Discussion Akiko Umezu, Keishi Kasahara, Mahito Kanayama and Yukio Tahara [D-lab Project Professor] and Kazuto Kasahara
18:30 Post Symposium Party at Plaza KIT