KYOTO Design Lab[D-lab]は、デジタルフード/アルゴリズミックデザイン/サーキュラーデザインなど、持続可能な未来のデザインを実践的に学ぶ5日間のサマースクール「School of Food Futures」を開催します。

2022年度は、「3Dプリントチョコレートのつくり方」「Rhinoceros+Grasshopperを用いた新食感創出のためのアルゴリズミックデザイン」「サーキュラーエコノミーにおけるデザイン」の3点を中心にした少人数制のオフラインワークショップと、国内外で活躍するゲスト講師を迎えてのオンラインレクチャーの二段構えで開催。最先端のフードデザイン・プロダクトデザイン・サーキュラーデザインの潮流を学び、また志を同じくする仲間をつくる機会、ぜひ奮ってご参加ください。
(主催:京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab/運営協力:MTRL・FabCafe Kyoto)

開催概要

日時|2022年8月28日[日] – 9月2日[金] ※8/28[日]はオンラインレクチャーのみ
会場|京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab、MTRL・FabCafe Kyoto、及びオンライン
   ※9月2日[金]のみFabCafe Kyotoにて実施
定員|オフラインワークショップ 10名 / オンラインレクチャー 200名
参加費|オフラインワークショップ受講 100,000円
オンラインレクチャー受講 10,000円
(本学学生のオンラインレクチャー受講は無料)
(本学学生のオフライン参加は別途募集のうえ6/17に締め切りました)
主催|京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab
運営協力|MTRL・FabCafe Kyoto

宣言文:開講に寄せて

フードデザインという言葉をご存知だろうか?

平成21年に文部科学省が発表した高等学校学習指導要領には「栄養、食品、献立、調理、テーブルコーディネートなどに関する知識と技術を習得させ、食生活を総合的にデザインするとともに食育の推進に寄与する能力と態度を育てる」科目として、フードデザインが定義された。いわば家庭科の進化形態のひとつなのだ。

フード「デザイン」は一体何をデザインするのだろうか?

平成30年告示の高等学校学習指導要領家庭編解説において、フードデザインは​​

  1. 栄養、食品、献立、調理、テーブルコーディネートなどについて体系的・系統的に理解するとともに、関連する技術を身に付けるようにする
  2. 食生活の現状から食生活全般に関する課題を発見し、食生活の充実向上を担う職業人として合理的かつ創造的に解決する力を養う
  3. 食生活の充実向上を目指して自ら学び、食生活の総合的なデザインと食育の推進に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う

以上の3点が科目目標として設定されている。つまり、フードデザインとは人と食生活全般の関係性を問い直すための、デザインを応用した創造的解決策の探索ということなのだろう。
一方で近年、気候変動、地球規模での人口増加、あるいは紛争問題に関連する食料輸出制限などさまざまな課題が私たちの食環境において顕在化してきた。また、フードテックと呼称される一連の技術開発動向や、昆虫食に象徴される持続可能な食品開発動向も注目を浴びている。つまり、これまでの食生活に関する知識や技術を身につけるだけではなく、これまでになかった食文化をデザインする必要性が高まっているといえよう。
──『FOOD DESIGN フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』序文より

こうした変容に向き合い、未来の食を探るため、京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labは、ここに「School of Food Futures」と称する新たなサマースクールを立ち上げる。
本サマースクールは、デジタルフード/アルゴリズミックデザイン/サーキュラーデザインを、フードデザインを中心としながら実験・思索する。食の領域のみならず、プロダクトデザインや建築などの領域において上記の実験的活動に興味、関心、意欲のある人を対象とし、持続可能な未来のデザインを実践的に学習する場所である。

2022年度は、フード3Dプリンタの使い方や、アルゴリズミックデザインの方法、サーキュラーエコノミーにおけるデザインの3点を中心にオフラインワークショップを実施する。また、これからのフードデザインを考えるために必要な視点を得るため、実践的な活動を行う識者らによるオンラインレクチャーも開催する。

最も確実に未来を予想する方法は、理想の未来を妄想し、つくることだ。
この夏も、KYOTO Design Labで会いましょう。

開講スケジュール

A)オフラインワークショップ

「3Dプリントチョコレートのつくり方」「Rhinoceros+Grasshopperを用いた新食感創出のためのアルゴリズミックデザイン」「サーキュラーエコノミーにおけるデザイン」の3点を中心にした少人数制のオフラインワークショップを京都にて開催します。

日時|2022年8月29日[月] – 9月2日[金] 10:00~17:00
場所|京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab(京都府京都市左京区松ヶ崎橋上町1)
※ 最終日の9月2日[金]のみ、FabCafe Kyoto(京都府京都市下京区本塩竈町554)にて実施を予定しています。

B)オンラインレクチャー

国内外で活躍するゲスト講師を迎え、トークやプレゼンテーションに加えて、質疑応答・交流の機会を設けます。

日時|2022年8月28日[日] – 9月2日[金] 19:00~21:00
場所|オンライン(zoom)

※ A・Bともに、全日程通しての参加が条件となります。
※ Bのアーカイブ動画は、参加者のみ期間限定で視聴可能となります。

プログラム内容

A)オフラインワークショップ実施内容

8/29(月) アイスブレイク、講義、フード3Dプリンタの演習、3Dモデリングの演習
8/30(火) サーキュラーデザインの演習、フード3Dプリンタの演習、スペキュラティブデザインの演習
8/31(水) 3Dデータ作成、フード3Dプリンタを用いたプロトタイピング制作
9/1(木) 3Dデータ作成、フード3Dプリンタを用いたプロトタイピング制作
9/2(金) 最終制作物の印刷、3Dプリントチョコレートの試食会

※プログラムは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

上記終了後、約1ヶ月間の個人制作期間を設け、10月中に成果物展示と振り返りイベントを開催予定です。

ワークショップ期間中の活動イメージ

B)オンラインレクチャー実施内容

8/28(日) Introduction 緒方胤浩/水野大二郎
  • サマースクールの紹介
  • レクチャー登壇者の紹介
  • 登壇者への事前質問受付コーナーの使い方紹介
  • フードデザインについての紹介
  • 食とデザイン、デジタルファブリケーションの関係、今後の展望と課題
  • 8/29(月) 3D Food Printing 若杉亮介
  • Byte Bites活動紹介
  • 3Dフードプリンティングの現在地点
  • 起業を通じてわかった社会からの要請
  • 食のパーソナライゼーションとウェルビーイングの可能性
  • 8/30(火) Entomophagy(昆虫食) 佐伯真二郎
  • 昆虫は「ふつうの食材」とわかってきた
  • ラオスの豊かな昆虫食文化と栄養不良の裏表
  • SDGsの理念と実践を昆虫食から理解する
  • 昆虫食は誰のために「デザイン」されるべきか?
  • 8/31(水) Circular Design 町⽥紘太
  • 食と静脈産業
  • 「お菓子の家」を建てる
  • fabulaとしての活動紹介
  • 9/1(木) Food and Ethics 津田和俊
  • YCAM食と倫理リサーチの取り組み紹介
  • 食とバイオテクノロジーに関する事例紹介
  • 食のサーキュラーデザインに関する萌芽的事例の紹介
  • 9/2(金) Presentation オフラインワークショップ参加者/緒方胤浩/水野大二郎/津田和俊
  • 最終制作物についてのプレゼンテーション
  • フード3Dプリンタを用いた実験で見えた可能性と課題
  • 試食会の様子、実食レポート
  • ※プログラムは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

    こんな人におすすめ

  • デジタルフードに興味があり、フード3Dプリンタで料理してみたい人
  • 食領域におけるデザインに興味がある人
  • Rhinoceros+Grasshopper/(Houdini)に興味がある人
  • アルゴリズミック・デザイン、デジタル・ファブリケーションに興味がある人
  • 持続可能性のためのデザインに興味がある人
  • サーキュラーデザインに興味がある人
  • スペキュラティヴ・デザインに興味がある人
  • フード3Dプリンタで作ったものを食べてみたい人(オンラインレクチャー参加者のうち、人数限定・先着順で9/2[金]の試食会にご招待いたします。)
  • 参加条件

    A)オフラインワークショップ

  • 会場である京都工芸繊維大学に期間中通え、宿泊施設などを自己調達できること
  • Rhinoceros+GrasshopperやAutodesk Fusion 360、Adobe Illustratorなど、デザインのための2D、3Dのソフトウェアがある程度使えることが望ましい
  • 以上のソフトウェアなどをインストールしたノートPCを所有し、持参できること
  • 普段から自分自身で料理を作る努力をし、調理器具などを安全に使用できること
  • クレジットカード決済で参加費支払ができること
  • B)オンラインレクチャー

  • zoomで参加するための設備・環境を自身で用意できること
  • クレジットカード決済で参加費支払ができること
  • 申込・支払方法

    A)オフラインワークショップ

  • 定員|10名
  • 受講料|100,000円[税込]
  • ※参加者1名につき、京都工芸繊維大学学生1名以上がサポートします。
    ※本プログラムを受講される方は、オンラインレクチャーに無料で参加可能です。
    ※参加費用のお支払いはクレジットカード決済のみとなります。(参加申込み完了後、お手続き方法をご連絡いたします。)
    ※本学学生のオフラインワークショップ参加は別途募集のうえ6/17に締め切りました。

    B)オンラインレクチャー

  • 定員|200名
  • 受講料|10,000円[税込](本学学生は無料)
  • ※定員は先着順とさせていただきます。
    ※参加費用のお支払いはクレジットカード決済のみとなります。(参加申し込み完了後、お手続き方法をご連絡いたします。)
    ※オンラインレクチャー参加のURLは受講手続き完了後にご連絡します。
    ※本学学生のオンラインレクチャー受講は無料です。

    申し込み

    MTRL・FabCafe Kyotoのウェブサイトにてお手続きください。
    https://fabcafe.com/jp/events/kyoto/sff2022/

    注意事項(あらかじめ同意のうえお申し込みください)

  • 参加費用は演習に用いる材料、調理器具の購入と準備に使用させていただきます。そのため原則として、当日不参加でも返金不可となることをあらかじめご了承ください。
  • 本サマースクールは、コロナウィルスの影響により状況次第では「開催中止」となる可能性もあることをあらかじめご了承ください。なお、開催中止の場合に関する返金の手続きは、参加者に別途お知らせいたします。
  • 本サマースクールは「実験」を前提としています。製品化やソリューション開発を即座に目指すものではないことをあらかじめご了承ください。
  • 本サマースクールにおける「オフラインワークショップ」は、大学として実験を社会全体に還元することを目的に「成果物の公開と共有、参加者の写真や氏名の公開」を前提とします。なお、顔写真や氏名公開を望まれない場合は事前に運営側にお知らせください。
  • その他、サマースクールへの参加条件及び、知的財産に関する条件について、こちらから資料をあらかじめご確認いただき、同意のうえ、ご応募ください。
  • 募集締切2022年7月19日[火]2022年8月4日[木]
    選考通知2022年7月20日[水]2022年8月5日[金]

    お問い合わせ

    本イベントに関するお問い合わせは、下記までメールにてお送りください。(担当:MTRL 木下・䂖井)
    info.mtrl@loftwork.com


    オフラインワークショップ講師

    水野大二郎(みずのだいじろう)
    京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 副機構長
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授

    2008年RCA博士課程修了、芸術博士(ファッションデザイン)。ウルトラファクトリー・クリティカルデザインラボ、京都大学デザインスクール、慶應義塾大学SFCを経て2022年4月から現職。Ars Electronica STARTS prize(2017)入選、International Documentary Filmfestival Amsterdam(2019)入選など、多様なプロジェクトに従事。共編著に『vanitas』(アダチプレス、2013〜現在)、共著に『FABに何が可能か』(フィルムアート、2013)、『inclusive design』(学芸出版社、2014)、『サーキュラーデザイン: 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』(学芸出版社、2022)、『FOOD DESIGN フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』(BNN、2022)など。
    www.daijirom.com

    津田和俊 (つだかずとし)
    京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 講師
    山口情報芸術センター[YCAM]主任研究員

    博士(工学)。工学設計や適正技術の教育プログラム、資源循環やサステナビリティに関する研究に取り組む。2010年からデジタルファブリケーションを推進するファブラボの国際ネットワークに参加、2013年ファブラボ北加賀屋(大阪市)を共同設立。2014年からYCAMの事業に関わり、2016年から研究員として主にバイオ・リサーチの企画を担当し、パーソナル・バイオテクノロジーの可能性を模索している。2020年2月から京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系の講師に着任、2022年4月から未来デザイン・工学機構に配属。共著に『サーキュラーデザイン: 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』(学芸出版社、2022)など。
    https://researchmap.jp/tsudakazutoshi

    井上智博 (いのうえともひろ)
    京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab・ファブラボ北加賀屋
    YouFab Global Creative Awards 2015 FINALISTS

    平日は京都工芸繊維大学にて学生にデジタルファブリケーションを教え、週末は、ファブラボ北加賀屋にて市民に対してデジタルファブリケーションを教えている。デジタルファブリケーションを利用したものづくり、ことづくりを主な活動領域としており、メイカーズムーブメントを一過性の運動にしないために、それを推進していくような動きを展開している。
    https://fablabkitakagaya.org/

    緒方胤浩(おがたかずひろ)
    京都工芸繊維大学 博士後期課程3年

    フードデザインとサービスデザインを研究する。KYOTO Design Labが主催した「Food Shaping Kyoto」ではコンテンツデザインを担当、「Food Shaping the Future」では2ヶ月間の3Dフードプリント食生活を実施するなどして活動を推進してきた。自身の修了制作・研究では、地元福岡の屋台文化をエスノグラフィ調査し、「おでん」のリデザインをおこなった。共著に『FOOD DESIGN フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』(BNN、2022)。
    https://kogata.portfoliobox.net/

    若杉亮介(わかすぎりょうすけ)
    Byte Bites株式会社 CEO

    慶應義塾大学政策メディア研究科修士課程(デザイン)修了。看護や教育、食など、多領域分野でのデジタルファブリケーションツールを基軸としたデザイン実践を専門に研究。卒業後は、株式会社LITALICOにて、ITものづくり教育事業のサービス開発部門にてカリキュラム開発を担当。TOKTO STARTUP GATEWAY 2021 セミファイナリスト、第18回みたかビジネスプランコンテスト 優秀賞受賞などの経験を重ね、2021年10月にフード3Dプリンティングを基軸としたデジタル技術による食表現・食体験の拡張を目指すByte Bites株式会社を創業。
    https://byte-bites.com/

    オンラインレクチャーゲスト講師

    佐伯真二郎
    おいしい昆虫生活®主宰/NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長

    JICA草の根技術協力事業プロジェクトマネージャー兼昆虫食専門家。神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学。食の未来のために昆虫食を通じ、昆虫と人間の関係をより良くするプロジェクト「おいしい昆虫生活®」を主宰、昆虫学からアートまで幅広く活動する。2008年から昆虫食の探求とその将来性を発信し続けている。これまで445種の昆虫を味見、記録。昆虫図鑑に味の項目を追加することが次の目標。2017年からはラオスを拠点とし、JICAの草の根技術協力事業「ラオス農村部住民の食糧事情向上を目指した昆虫養殖技術開発事業」に従事する。単著に『おいしい昆虫記』(ナツメ社、2020)。
    https://mushi-sommelier.net/

    町⽥紘太
    fabula株式会社 代表取締役CEO

    環境先進国であるオランダで幼少期を過ごし、環境問題に興味を持つ。東京大学工学部の卒業研究時に「100%食品廃棄物から作る新素材」を開発。2021年10月に東京大学発ベンチャーとしてfabula株式会社を創業。新素材はコンクリートの4倍の曲げ強度を持つだけでなく、原材料の色や香りが楽しめ、食器や建材として利用可能。小学生時代からの幼馴染(コーヒーの専門商社に勤め、コスタリカに駐在した経験を持つ取締役CFOの松⽥⼤希/感性工学を専門に、人の感性を活かした住環境の空間づくりを研究した取締役CCOの⼤⽯琢⾺)と共に事業を推進する。
    https://fabulajp.com/

    KYOTO Design Lab[D-lab]は、デジタルフード/アルゴリズミックデザイン/サーキュラーデザインなど、持続可能な未来のデザインを実践的に学ぶ5日間のサマースクール「School of Food Futures」を開催します。

    2022年度は、「3Dプリントチョコレートのつくり方」「Rhinoceros+Grasshopperを用いた新食感創出のためのアルゴリズミックデザイン」「サーキュラーエコノミーにおけるデザイン」の3点を中心にした少人数制のオフラインワークショップと、国内外で活躍するゲスト講師を迎えてのオンラインレクチャーの二段構えで開催。最先端のフードデザイン・プロダクトデザイン・サーキュラーデザインの潮流を学び、また志を同じくする仲間をつくる機会、ぜひ奮ってご参加ください。
    (主催:京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab/運営協力:MTRL・FabCafe Kyoto)

    開催概要

    日時|2022年8月28日[日] – 9月2日[金] ※8/28[日]はオンラインレクチャーのみ
    会場|京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab、MTRL・FabCafe Kyoto、及びオンライン
       ※9月2日[金]のみFabCafe Kyotoにて実施
    定員|オフラインワークショップ 10名 / オンラインレクチャー 200名
    参加費|オフラインワークショップ受講 100,000円
    オンラインレクチャー受講 10,000円
    (本学学生のオンラインレクチャー受講は無料)
    (本学学生のオフライン参加は別途募集のうえ6/17に締め切りました)
    主催|京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab
    運営協力|MTRL・FabCafe Kyoto

    宣言文:開講に寄せて

    フードデザインという言葉をご存知だろうか?

    平成21年に文部科学省が発表した高等学校学習指導要領には「栄養、食品、献立、調理、テーブルコーディネートなどに関する知識と技術を習得させ、食生活を総合的にデザインするとともに食育の推進に寄与する能力と態度を育てる」科目として、フードデザインが定義された。いわば家庭科の進化形態のひとつなのだ。

    フード「デザイン」は一体何をデザインするのだろうか?

    平成30年告示の高等学校学習指導要領家庭編解説において、フードデザインは​​

    1. 栄養、食品、献立、調理、テーブルコーディネートなどについて体系的・系統的に理解するとともに、関連する技術を身に付けるようにする
    2. 食生活の現状から食生活全般に関する課題を発見し、食生活の充実向上を担う職業人として合理的かつ創造的に解決する力を養う
    3. 食生活の充実向上を目指して自ら学び、食生活の総合的なデザインと食育の推進に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う

    以上の3点が科目目標として設定されている。つまり、フードデザインとは人と食生活全般の関係性を問い直すための、デザインを応用した創造的解決策の探索ということなのだろう。
    一方で近年、気候変動、地球規模での人口増加、あるいは紛争問題に関連する食料輸出制限などさまざまな課題が私たちの食環境において顕在化してきた。また、フードテックと呼称される一連の技術開発動向や、昆虫食に象徴される持続可能な食品開発動向も注目を浴びている。つまり、これまでの食生活に関する知識や技術を身につけるだけではなく、これまでになかった食文化をデザインする必要性が高まっているといえよう。
    ──『FOOD DESIGN フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』序文より

    こうした変容に向き合い、未来の食を探るため、京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labは、ここに「School of Food Futures」と称する新たなサマースクールを立ち上げる。
    本サマースクールは、デジタルフード/アルゴリズミックデザイン/サーキュラーデザインを、フードデザインを中心としながら実験・思索する。食の領域のみならず、プロダクトデザインや建築などの領域において上記の実験的活動に興味、関心、意欲のある人を対象とし、持続可能な未来のデザインを実践的に学習する場所である。

    2022年度は、フード3Dプリンタの使い方や、アルゴリズミックデザインの方法、サーキュラーエコノミーにおけるデザインの3点を中心にオフラインワークショップを実施する。また、これからのフードデザインを考えるために必要な視点を得るため、実践的な活動を行う識者らによるオンラインレクチャーも開催する。

    最も確実に未来を予想する方法は、理想の未来を妄想し、つくることだ。
    この夏も、KYOTO Design Labで会いましょう。

    開講スケジュール

    A)オフラインワークショップ

    「3Dプリントチョコレートのつくり方」「Rhinoceros+Grasshopperを用いた新食感創出のためのアルゴリズミックデザイン」「サーキュラーエコノミーにおけるデザイン」の3点を中心にした少人数制のオフラインワークショップを京都にて開催します。

    日時|2022年8月29日[月] – 9月2日[金] 10:00~17:00
    場所|京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab(京都府京都市左京区松ヶ崎橋上町1)
    ※ 最終日の9月2日[金]のみ、FabCafe Kyoto(京都府京都市下京区本塩竈町554)にて実施を予定しています。

    B)オンラインレクチャー

    国内外で活躍するゲスト講師を迎え、トークやプレゼンテーションに加えて、質疑応答・交流の機会を設けます。

    日時|2022年8月28日[日] – 9月2日[金] 19:00~21:00
    場所|オンライン(zoom)

    ※ A・Bともに、全日程通しての参加が条件となります。
    ※ Bのアーカイブ動画は、参加者のみ期間限定で視聴可能となります。

    プログラム内容

    A)オフラインワークショップ実施内容

    8/29(月) アイスブレイク、講義、フード3Dプリンタの演習、3Dモデリングの演習
    8/30(火) サーキュラーデザインの演習、フード3Dプリンタの演習、スペキュラティブデザインの演習
    8/31(水) 3Dデータ作成、フード3Dプリンタを用いたプロトタイピング制作
    9/1(木) 3Dデータ作成、フード3Dプリンタを用いたプロトタイピング制作
    9/2(金) 最終制作物の印刷、3Dプリントチョコレートの試食会

    ※プログラムは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

    上記終了後、約1ヶ月間の個人制作期間を設け、10月中に成果物展示と振り返りイベントを開催予定です。

    ワークショップ期間中の活動イメージ

    B)オンラインレクチャー実施内容

    8/28(日) Introduction 緒方胤浩/水野大二郎
  • サマースクールの紹介
  • レクチャー登壇者の紹介
  • 登壇者への事前質問受付コーナーの使い方紹介
  • フードデザインについての紹介
  • 食とデザイン、デジタルファブリケーションの関係、今後の展望と課題
  • 8/29(月) 3D Food Printing 若杉亮介
  • Byte Bites活動紹介
  • 3Dフードプリンティングの現在地点
  • 起業を通じてわかった社会からの要請
  • 食のパーソナライゼーションとウェルビーイングの可能性
  • 8/30(火) Entomophagy(昆虫食) 佐伯真二郎
  • 昆虫は「ふつうの食材」とわかってきた
  • ラオスの豊かな昆虫食文化と栄養不良の裏表
  • SDGsの理念と実践を昆虫食から理解する
  • 昆虫食は誰のために「デザイン」されるべきか?
  • 8/31(水) Circular Design 町⽥紘太
  • 食と静脈産業
  • 「お菓子の家」を建てる
  • fabulaとしての活動紹介
  • 9/1(木) Food and Ethics 津田和俊
  • YCAM食と倫理リサーチの取り組み紹介
  • 食とバイオテクノロジーに関する事例紹介
  • 食のサーキュラーデザインに関する萌芽的事例の紹介
  • 9/2(金) Presentation オフラインワークショップ参加者/緒方胤浩/水野大二郎/津田和俊
  • 最終制作物についてのプレゼンテーション
  • フード3Dプリンタを用いた実験で見えた可能性と課題
  • 試食会の様子、実食レポート
  • ※プログラムは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

    こんな人におすすめ

  • デジタルフードに興味があり、フード3Dプリンタで料理してみたい人
  • 食領域におけるデザインに興味がある人
  • Rhinoceros+Grasshopper/(Houdini)に興味がある人
  • アルゴリズミック・デザイン、デジタル・ファブリケーションに興味がある人
  • 持続可能性のためのデザインに興味がある人
  • サーキュラーデザインに興味がある人
  • スペキュラティヴ・デザインに興味がある人
  • フード3Dプリンタで作ったものを食べてみたい人(オンラインレクチャー参加者のうち、人数限定・先着順で9/2[金]の試食会にご招待いたします。)
  • 参加条件

    A)オフラインワークショップ

  • 会場である京都工芸繊維大学に期間中通え、宿泊施設などを自己調達できること
  • Rhinoceros+GrasshopperやAutodesk Fusion 360、Adobe Illustratorなど、デザインのための2D、3Dのソフトウェアがある程度使えることが望ましい
  • 以上のソフトウェアなどをインストールしたノートPCを所有し、持参できること
  • 普段から自分自身で料理を作る努力をし、調理器具などを安全に使用できること
  • クレジットカード決済で参加費支払ができること
  • B)オンラインレクチャー

  • zoomで参加するための設備・環境を自身で用意できること
  • クレジットカード決済で参加費支払ができること
  • 申込・支払方法

    A)オフラインワークショップ

  • 定員|10名
  • 受講料|100,000円[税込]
  • ※参加者1名につき、京都工芸繊維大学学生1名以上がサポートします。
    ※本プログラムを受講される方は、オンラインレクチャーに無料で参加可能です。
    ※参加費用のお支払いはクレジットカード決済のみとなります。(参加申込み完了後、お手続き方法をご連絡いたします。)
    ※本学学生のオフラインワークショップ参加は別途募集のうえ6/17に締め切りました。

    B)オンラインレクチャー

  • 定員|200名
  • 受講料|10,000円[税込](本学学生は無料)
  • ※定員は先着順とさせていただきます。
    ※参加費用のお支払いはクレジットカード決済のみとなります。(参加申し込み完了後、お手続き方法をご連絡いたします。)
    ※オンラインレクチャー参加のURLは受講手続き完了後にご連絡します。
    ※本学学生のオンラインレクチャー受講は無料です。

    申し込み

    MTRL・FabCafe Kyotoのウェブサイトにてお手続きください。
    https://fabcafe.com/jp/events/kyoto/sff2022/

    注意事項(あらかじめ同意のうえお申し込みください)

  • 参加費用は演習に用いる材料、調理器具の購入と準備に使用させていただきます。そのため原則として、当日不参加でも返金不可となることをあらかじめご了承ください。
  • 本サマースクールは、コロナウィルスの影響により状況次第では「開催中止」となる可能性もあることをあらかじめご了承ください。なお、開催中止の場合に関する返金の手続きは、参加者に別途お知らせいたします。
  • 本サマースクールは「実験」を前提としています。製品化やソリューション開発を即座に目指すものではないことをあらかじめご了承ください。
  • 本サマースクールにおける「オフラインワークショップ」は、大学として実験を社会全体に還元することを目的に「成果物の公開と共有、参加者の写真や氏名の公開」を前提とします。なお、顔写真や氏名公開を望まれない場合は事前に運営側にお知らせください。
  • その他、サマースクールへの参加条件及び、知的財産に関する条件について、こちらから資料をあらかじめご確認いただき、同意のうえ、ご応募ください。
  • 募集締切2022年7月19日[火]2022年8月4日[木]
    選考通知2022年7月20日[水]2022年8月5日[金]

    お問い合わせ

    本イベントに関するお問い合わせは、下記までメールにてお送りください。(担当:MTRL 木下・䂖井)
    info.mtrl@loftwork.com


    オフラインワークショップ講師

    水野大二郎(みずのだいじろう)
    京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 副機構長
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授

    2008年RCA博士課程修了、芸術博士(ファッションデザイン)。ウルトラファクトリー・クリティカルデザインラボ、京都大学デザインスクール、慶應義塾大学SFCを経て2022年4月から現職。Ars Electronica STARTS prize(2017)入選、International Documentary Filmfestival Amsterdam(2019)入選など、多様なプロジェクトに従事。共編著に『vanitas』(アダチプレス、2013〜現在)、共著に『FABに何が可能か』(フィルムアート、2013)、『inclusive design』(学芸出版社、2014)、『サーキュラーデザイン: 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』(学芸出版社、2022)、『FOOD DESIGN フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』(BNN、2022)など。
    www.daijirom.com

    津田和俊 (つだかずとし)
    京都工芸繊維大学 未来デザイン・工学機構 講師
    山口情報芸術センター[YCAM]主任研究員

    博士(工学)。工学設計や適正技術の教育プログラム、資源循環やサステナビリティに関する研究に取り組む。2010年からデジタルファブリケーションを推進するファブラボの国際ネットワークに参加、2013年ファブラボ北加賀屋(大阪市)を共同設立。2014年からYCAMの事業に関わり、2016年から研究員として主にバイオ・リサーチの企画を担当し、パーソナル・バイオテクノロジーの可能性を模索している。2020年2月から京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系の講師に着任、2022年4月から未来デザイン・工学機構に配属。共著に『サーキュラーデザイン: 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』(学芸出版社、2022)など。
    https://researchmap.jp/tsudakazutoshi

    井上智博 (いのうえともひろ)
    京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab・ファブラボ北加賀屋
    YouFab Global Creative Awards 2015 FINALISTS

    平日は京都工芸繊維大学にて学生にデジタルファブリケーションを教え、週末は、ファブラボ北加賀屋にて市民に対してデジタルファブリケーションを教えている。デジタルファブリケーションを利用したものづくり、ことづくりを主な活動領域としており、メイカーズムーブメントを一過性の運動にしないために、それを推進していくような動きを展開している。
    https://fablabkitakagaya.org/

    緒方胤浩(おがたかずひろ)
    京都工芸繊維大学 博士後期課程3年

    フードデザインとサービスデザインを研究する。KYOTO Design Labが主催した「Food Shaping Kyoto」ではコンテンツデザインを担当、「Food Shaping the Future」では2ヶ月間の3Dフードプリント食生活を実施するなどして活動を推進してきた。自身の修了制作・研究では、地元福岡の屋台文化をエスノグラフィ調査し、「おでん」のリデザインをおこなった。共著に『FOOD DESIGN フードデザイン:未来の食を探るデザインリサーチ』(BNN、2022)。
    https://kogata.portfoliobox.net/

    若杉亮介(わかすぎりょうすけ)
    Byte Bites株式会社 CEO

    慶應義塾大学政策メディア研究科修士課程(デザイン)修了。看護や教育、食など、多領域分野でのデジタルファブリケーションツールを基軸としたデザイン実践を専門に研究。卒業後は、株式会社LITALICOにて、ITものづくり教育事業のサービス開発部門にてカリキュラム開発を担当。TOKTO STARTUP GATEWAY 2021 セミファイナリスト、第18回みたかビジネスプランコンテスト 優秀賞受賞などの経験を重ね、2021年10月にフード3Dプリンティングを基軸としたデジタル技術による食表現・食体験の拡張を目指すByte Bites株式会社を創業。
    https://byte-bites.com/

    オンラインレクチャーゲスト講師

    佐伯真二郎
    おいしい昆虫生活®主宰/NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長

    JICA草の根技術協力事業プロジェクトマネージャー兼昆虫食専門家。神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学。食の未来のために昆虫食を通じ、昆虫と人間の関係をより良くするプロジェクト「おいしい昆虫生活®」を主宰、昆虫学からアートまで幅広く活動する。2008年から昆虫食の探求とその将来性を発信し続けている。これまで445種の昆虫を味見、記録。昆虫図鑑に味の項目を追加することが次の目標。2017年からはラオスを拠点とし、JICAの草の根技術協力事業「ラオス農村部住民の食糧事情向上を目指した昆虫養殖技術開発事業」に従事する。単著に『おいしい昆虫記』(ナツメ社、2020)。
    https://mushi-sommelier.net/

    町⽥紘太
    fabula株式会社 代表取締役CEO

    環境先進国であるオランダで幼少期を過ごし、環境問題に興味を持つ。東京大学工学部の卒業研究時に「100%食品廃棄物から作る新素材」を開発。2021年10月に東京大学発ベンチャーとしてfabula株式会社を創業。新素材はコンクリートの4倍の曲げ強度を持つだけでなく、原材料の色や香りが楽しめ、食器や建材として利用可能。小学生時代からの幼馴染(コーヒーの専門商社に勤め、コスタリカに駐在した経験を持つ取締役CFOの松⽥⼤希/感性工学を専門に、人の感性を活かした住環境の空間づくりを研究した取締役CCOの⼤⽯琢⾺)と共に事業を推進する。
    https://fabulajp.com/